
直線108㎞。
ナビにそう表示されたとき、さすがに少し笑ってしまった。
日本で108kmといえば県をまたぐ距離だ。それが「この先ずっと直進」。タスマニアのスケール感は、数字で見ると現実味がない。

この日は
・ロンセストンからマウントフィールド国立公園へ移動
・Russell FallsとHorseshoe Falls、さらにTall Treesまでトレッキング
・ブルーニー島へフェリーで渡航
・The Neckで夕景撮影
・Captain Cook Holiday Park泊
距離は長い。でも、この日は焦りがなかった。
それは“島に泊まる”と決めていたからだと思う。
この記事でわかること
- ロンセストン〜マウントフィールドのリアル所要時間(約3時間半)
- タスマニア国立公園の入園料と支払い方法
- 1日券以外のパス料金の種類
- 圏外エリアでのナビ対策とオフラインマップの重要性
- マウントフィールドのトレイル所要時間と歩きやすさ
- ブルーニー島フェリー料金と混雑のタイミング
- 島内の買い物・給油事情
- 月齢と野生動物観察の関係
- キャラバンパークの料金感と設備感
- この記事でわかること
- Day2|直線108kmと、距離感が壊れる朝
- 国立公園の入園料|47.7ドルの価値
- トレッキング前のカフェ|完全に看護師的判断
- 森の植生|整えられた自然の奥行き
- フェリー41.1ドルと、泊まるという選択
- The Neck|時間帯は戦略
- 島内の現実と夜の静けさ
- Day2まとめ
Day2|直線108kmと、距離感が壊れる朝
ロンセストンからマウントフィールドまで約3時間半。
この「3時間半」という数字も、日本の感覚だとちょっとした旅行だ。でもタスマニアではそれが1日の前半戦になる。
カーナビはDay1の時点で使えないと判断していた。早々にあきらめ、Googleマップ一本に絞る。
前日にApple Musicが圏外で止まった経験から、キャラバンパークでプレイリストを丸ごとダウンロードしておいた。ドライブに音楽は必須だ。無音の山道は、思った以上に精神を削る。
この日も途中で圏外になった。そしてうっかり「戻る」を押す。再検索できない。少しだけ緊張する。でもオフラインマップがある。ガソリンスタンド検索もできる。
圏外を想定しているかどうかで、旅の難易度は大きく変わる。タスマニアは、その差がはっきり出る場所だ。
国立公園の入園料|47.7ドルの価値
マウントフィールド国立公園の入園料は
1日47.7ドル(車1台あたり)。
1人料金もあるが、2人以上なら車単位の方がお得。入園料と駐車場代込み。
支払いは公園内事務所のカウンター、もしくはパーキングメーターのような機械で行う。ナンバープレート番号の入力が必要なので、事前に写真を撮っておくとスムーズだ。
発行されたレシートはフロントガラスの見える位置へ。
ちなみにこのパス、1日券だけでなく、
8週間パスや年間パスなど複数の料金設定がある。タスマニアには全17の国立公園があり、期間内であれば他の公園にも入園可能だ。
金額だけ見ると少し高い。でも、実際に歩いてみると、その整備状況と自然環境を維持するためのコストだと納得できる。
トレッキング前のカフェ|完全に看護師的判断
滝へ向かう前に、併設カフェでランチをとった。
理由は単純。「低血糖で森に入るのは避けたい」。
終わった後でもお腹は持つ。でも、先に糖質とカロリーを入れておく。完全に救急外来仕込みの思考回路だ。
ここまでまともな飲食店はほぼない。実質ここ一択。でも正直、あまり期待していなかった。観光地価格だろうし、出来合いのものが出てくると思っていた。
でも裏切られた。いい意味で。

スコーンは外さく中しっとり。丼もちゃんと温かくて味が整っている。タスマニア特産のレザーウッドハニーを使ったソーダは、スモーキーで甘さ控えめ。
しかもシドニーより数ドル安い。
観光地で「ちゃんと美味しい」と思えるのは、意外と貴重だ。
森の植生|整えられた自然の奥行き
Russell FallsとHorseshoe Fallsまでは、舗装路やウッドデッキが整備されている。写真を撮りながら約45分。真っすぐ歩けば30分もかからない。
観光地としての安心感がある。

でもTall Treesへ進むと、森の表情が変わる。
幹が細いのに、驚くほど真っすぐ高く伸びる木々。かと思えば、腕では抱えきれないほど太い巨木が突然現れる。足元には苔がびっしりと張り付き、湿度を含んだ空気が肌にまとわりつく。
そして、シダ科の大きな葉を広げた木。ジェラシックワールドに出てきそうな景色が本当にある。

人の手は入っている。道は整えられている。でも森そのものは自然だ。
観光と野生の境界線。そのちょうど真ん中を歩いている感覚だった。
フェリー41.1ドルと、泊まるという選択
マウントフィールドからフェリー乗り場までは約1時間半。距離感はもう壊れている。「1時間半?近いね」と思ってしまう自分が怖い。
ブルーニー島フェリーは
41.1ドル(車1台あたり)。料金は車両サイズで決まる。歩行者は無料。
行きは待ち時間なし。

島に着くと、反対車線に帰りの車列ができていた。
ここで確信する。
泊まりで正解。
日帰りだと、あの列に並び、時間を逆算しながら動く。泊まりだと、景色に時間を渡せる。
The Neck|時間帯は戦略
18:30〜19:00。日没は20:30。
まだ明るい海。少しずつ色を変える空。誰もいない。

翌朝10時頃に横を通ったときは人が多かった。同じ場所なのに、体験はまったく違う。
階段は地味にきつい。でも上りきった先の景色は、ちゃんと報酬になっている。
時間帯は偶然ではなく、戦略だ。
島内の現実と夜の静けさ
フェリー事務所には小さなキオスクがある。実質ここが最後のショップ。私たちが回った範囲では他にグローサリーは見かけなかった。ガソリンスタンドもない。
島は便利ではない。でもその分、静かだ。
この日は満月直前。星は見えるが天の川はうっすら。月齢は意外と重要だ。明るい夜は、動物も警戒する。
ペンギンウォッチトライは不発。
でも帰り道の暗さは本物だった。ヘッドライトだけが頼り。

道路中央にポッサム。横切るワラビー。
夜は、動物の時間。

Day2まとめ
直線108㎞という表示を見たとき、タスマニアは広いのではなく、距離の感じ方が違う場所なんだと思った。
3時間半の移動も、1時間半の海越えも、歩いて45分の滝も、30分の森も、どれも数字で見れば長い。でも実際にその中に身を置いていると、時間は意外と穏やかだった。
それはきっと、島に泊まると決めていたからだ。
帰りのフェリーを気にしなくていい。日没を逆算しなくていい。焦らなくていい。その余白があるだけで、景色の見え方が変わる。
ブルーニ―島は、行く場所というより、滞在する場所だった。
Day2は、距離を消費する日ではなく、距離を受け入れる日だったと思う。
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